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抗精子抗体による不妊症
- 免疫とは、もともとは体の中に入った病原菌などの異物から体を守るためのメカニズムです。体の中に異物が入るとリンパ球の働きでその物質だけに結合する抗体が作られ、これがその異物を排除するのに大切な役割を果たしています。しかし、複雑な免疫のメカニズムは時として自分の体の一部や自分に必要なものに対しても間違って抗体を作ってしまうことがあります。抗精子抗体とはこうした抗体の一つで、精子の表面に結合して精子を動かなくしてしまいます。
抗精子抗体が結合した精子は、子宮の入り口の子宮頚管の中を子宮の奥や卵管に向かって泳いでいくことができなくなってしまいます。もし、子宮頚管を通過できたとしても、子宮の奥から卵管の中へと向かううちに精子が動かなくなってしまいます。
この抗体があるかどうかは血液検査で調べることができます。検査してこの抗体があるとわかったときの治療法は、抗体がどれだけ精子を動きにくくするかという、抗体の強さによって違ってきます。
抗体があまり強くないときにはまず、精子を洗浄して子宮の中に入れる人工授精を何回か試してみます。それでも妊娠しないか、あるいは抗体が強い場合には、体外受精を受けないと妊娠は難しいでしょう。体外受精では抗体の全く無いところで受精することができるので、抗精子抗体に関係なく妊娠することができます。
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